子犬を初めて家に迎えた時に、ドッグフードを食べてくれないと心配になりますよね。
犬の飼育が初めての場合は、どうしたらいいのか悩んでしまうこともあるでしょう。
心配を取り除くために、今回は、子犬がドッグフードを食べない理由6つとその対処方法についてです。
動物看護師資格がある筆者が解説していきます。
この記事を読んでいけば、子犬がドッグフードを食べない原因やその対処法もわかるようになり、不安が解消されていくでしょう。
子犬がドッグフードを食べない原因6つと対処法
さっそくですが、子犬がドッグフードを食べない理由6つとその対処方法を解説していこうと思います。
本記事では、ドッグフードを子犬が食べない典型的は理由を紹介していきます。
しかしながら、個体差や例外も多くありますので、すべての子犬に当てはまるわけではありません。
様子がおかしい、体調不良などが見られる場合は、必ず獣医師に診てもらうようにしてください。
ドッグフード自体が食べにくい
子犬がドッグフードを食べない1番の原因は、フード自体が食べにくいということです。
成長にともなってドッグフードが変わったがために、ドッグフードを食べなくなるということもあります。
食べにくいということを分解していくと、
- フードが硬い
- 粒が大きい
- 食感が好みじゃない
- 味がおいしくない
などがあり、これらを子犬が感じると食いつきが悪くなってしまいます。
それ以外にも、ドッグフードが変わったことに対するストレスで食欲がなくなってしまうケースもあります。
対処法1:硬いドライフードはお湯でふやかす
ドライフードが硬いために子犬がごはんを食べないときは、50〜60℃のお湯に約20分ひたし柔らかくします。
1週間これをくり返し慣れてきたら、だんだんふやかす時間を15分、10分と短くしましょう。
ふやかしたドッグフードをずっとあげてしまうと、ドライフードを余計に食べなくなる可能性があります。
そのため、最終的には硬くても食べられるように徐々に慣らしていくと良いでしょう。
対処法2:大きい粒のドッグフードは砕く
成犬にとっては大きくないドッグフードであっても、子犬にとっては粒が大きい場合もあります。
粒が大きいときに、砕く方法は2つあります。
1つ目はフードチョッパーなどを使って砕く方法、2つ目は袋の上からめん棒でたたいて砕く方法です。
注意点は、どちらにしても粉々にしすぎないことです。
細かすぎると気管に入ってむせてしまう可能性があるためです。
対処法3:新しいドッグフードに少量ずつ切り替える
3つ目は、新しいドッグフードに少量ずつ切り替えるという対処法です。
フードを頻繁に切り替えると、飽きやすくなるため、1、2番目の対処法を試してからにしましょう。
いきなり全てを新しいフードに切り替えると、子犬にとってストレスになってしまうことがあります。
切り替えるとき、最初は新しいドッグフードを全体の2割までにします。
徐々に新しいフードの割合を高めて、約10日ですべてのフードを切り替えていきます。
1、2日目……新しいごはん:2割、既存のごはん:8割
3、4日目……新しいごはん:4割、既存のごはん:6割
5、6日目……新しいごはん:6割、既存のごはん:4割
7、8日目……新しいごはん:8割、既存のごはん:2割
9日目………新しいごはん:10割、
ストレスを感じている
子犬にとってはほとんどのことが初体験のため、少しの変化でもストレスになり、食欲がなくなりやすいです。
新しい家にきたとき、初めての環境がストレスになることで食欲不振や体調不良になる子犬もいます。これをニューオーナーシンドロームといいます。
このほかにも、次のようなことで子犬のストレスになっている場合があります。
ストレスの原因例
- 環境が著しく変わった
- 不衛生な場所にいる
- 周りの音がうるさい
- 苦手、嫌いな動物や人が近くにいる
- ごはんが体質に合わない
- スキンシップが過剰
- 構ってもらえない
- 運動不足
食欲以外に元気もないようであれば、ストレスをとても感じている傾向があります。
食欲不振だけでなくストレスは、下痢、嘔吐、噛み癖、吠え癖の原因にもなりますので、気をつけるようにしましょう。
ストレスの対処法
ストレスが原因と思われる場合は、ストレスの元になっているものを探し出し、早急に改善をしましょう。
特に子犬にとってストレスになるのが、環境の変化です。
できるかぎり変化を少なくする工夫をして、子犬が安心して過ごせる環境を整えるようにしましょう。
子犬を家に迎えて間もない頃に大切なのは、構いすぎないことです。
子犬のペースを尊重しそっと見守ることで、子犬は次第に心をオープンにしてくれ、無用なストレスを感じさせずにすみます。
誤飲誤食した
子犬は気になる物すべてを口に入れてしまうため、誤飲誤食をしがちです。
人間の目の届かないところで食べ物ではないものを食べてしまうことは多々あります。
物によっては、腸に詰まる、消化器官を傷つけることがあるため注意が必要です。
誤飲誤食が原因で起こる体調不良は、食欲不振以外に、嘔吐、下痢、血便、ぐったりする、体の震え、痙攣などがあります。
誤飲の対処法
子犬が誤って物を食べてしまった場合には、一刻もはやく動物病院に電話して獣医さんの指示をもらいましょう。
誤飲誤食の場合は、様子を見て時間が経ってしまっては手遅れになることもあるためです。
吐き出した物や、誤飲した物と同じ物があれば、動物病院にもっていきましょう。
その理由は、消化器官が傷ついているかなど獣医師が判断する材料になるためです。
もし飲み込んだ物が手元になければ、大きさ、材質、形などを獣医師に伝えられるようにしておくことで、検査や診察がスムーズに進むでしょう。
体調不良や病気になっている
子犬が何日もフードを食べないときは、体調不良や病気の可能性が疑われます。
食欲不振のほかに、次のような症状や様子があれば体の調子が悪い可能性が高いです。
- 下痢
- 嘔吐
- 体の震え
- 元気消失
- ぐったりしている
- いきなり痩せてきた
- 水を飲まない
- 他のご飯やおやつも食べない
成犬とちがい、子犬はまだ消化器官が未発達です。
消化のよくないフードや食べ過ぎが理由で、消化不良になってしまうこともあります。
体調不良の対処法
子犬がどんな不調や病気になっているのかは動物病院で診てもらわないとわからないため、自己判断はしないようにしましょう。
フードを食べない日が2〜3日続くようであれば、ひとまず獣医師に診察してもらうようにしましょう。
このほかに変わった症状がなさそうでも、ご飯を食べない日が2〜3日続いた場合は、動物病院に必ず連れていき診察してもらってください。
一番大切なのは病気の予防を日頃からすることですが、予防だけでは阻止できない病気もあります。
日々子犬の様子や顔からだをチェックし、異変を見逃さないようにしておくことが重要です。
また毎年ワクチン接種や健康診断をするようにしましょう。
反抗期になっている
個体によってちがいますが、生後6ヶ月〜1年の時期に反抗期をむかえる子犬が多いです。
中には反抗期がない子もいます。
反抗期をむかえた子犬は、ご飯に対しても反抗することがあるため、ご飯を食べないときの人の反応を見ていることがあります。
反抗期の対処法
反抗期だからといって子犬のやることなすことを許してしまうと、良し悪しの判別ができないまま成長してしまいます。
そのため心を鬼にして甘やかさないことが重要です。
あげたドッグフードを食べないからと、トッピングを乗せたり、おやつをご飯がわりにしてしまったりしないようにしましょう。
なぜなら「食べずにいればもっとおいしいものがもらえる」と味をしめ、余計にドッグフードを食べないようになってしまうためです。
栄養バランスのいいドッグフードを食べてもらうために、フードをあげて10分ほど経っても食べなければ、片付けてしまいましょう。
詳しくは後ほどご紹介します。
おやつをあげすぎている
かわいい子犬だからと言って、せがまれるたびにおやつをあげていませんか?
おやつをあげすぎてしまうと、それだけでお腹いっぱいになってしまい、ちゃんとしたドッグフードを食べなくなってしまうケースが多々あります。
おやつあげすぎの対処法
1日にあげるおやつの量を必ず決めてから、あげるようにしましょう。
家族がいる場合、それぞれが適当におやつをあげていると適正量オーバーになってしまうため、家族全員で統一のルールを決めて、おやつを与えすぎないように気をつけましょう。
特に子犬は、ドッグフードよりもおやつが美味しいと感じて、おやつをたくさん食べてしまいやすいです。
おやつのおいしさを覚えてドッグフードを拒否しないように、ごほうびはフードを少しあげるようにしてみましょう。
成長のピークが過ぎた
子犬のご飯の量を成犬より多くする理由は、成犬の2倍ほどのエネルギーを使うためです。
結果的に摂取カロリーも高くなりますが、普通のことです。
子犬は筋肉、骨、臓器などの体が発育していて、発育を阻止しないために、必要な栄養を摂取することが不可欠になります。
個体差はあるものの、通常は生後6〜8ヶ月くらいでごはんへの落ち着きが見えてくるでしょう。
飼い主さんからすると、「以前より食べなくなった」と思うかもしれませんが、安心してください。
たくさん食べる時期が終わろうとしているのです。
しかしながら、体調不良やストレスなどの原因の可能性もあるため、原因の見極めはしっかりしてきましょう。
対処法
この場合は、あたたかく見守り、自然に身を任せて大丈夫です。
逆にいうと、肥満、栄養過多、病気を引き起こさないためにも、ちょっとずつフードの量を減らすようにしましょう。
パピー用のフードをあげているケースは、生後8〜10ヶ月くらいを目安に成犬用フードに切り替えていく必要があります。
切り替えとともに、あげる量も段階的に減らしていきましょう。
体の大きさごとに、成犬用フードへ切り替える時期は、下記のようになります。
体の大きさ 切り替える時期
小型犬 8〜10ヶ月
中型犬 10〜12ヶ月
大型犬 17〜18ヶ月
通常、大型犬ほど子犬の期間が長いです。
上記は参考程度にとどめ、フードの切り替えの時期は獣医師に相談するようにしましょう。
子犬がドッグフードを食べないときのおすすめの食べさせ方
子犬がドッグフードを食べてくれないからと、犬のおやつや人のごはんなどを代わりにあげてはいけません。
おすすめの方法として、「ドッグフードを食べなかったら、片付けてしまう」ということです。
手順は次の通りです。
1、ドッグフードをあげて10分経っても食べなければ、片付けて処分します(ここで甘やかしておやつなどをあげないようにする)。
2、ごはんのたびに1番を続け、きちんとドッグフードを食べるまで辛抱します。
出しっぱしにしてはいけない理由として、2つあります。
1つ目は、不衛生という理由で、長い時間空気にふれると瞬く間に腐ってしまうためです。
2つ目は、子犬が「いつまでもあるからすぐに食べなくていいや」と思ってフードを食べないためです。
これらの理由から、10分程度たっても食べなかったら、処分してしまいましょう。
「食べなければ他のものがもらえる」と子犬に思わせないように、上記の方法を続けていくことが大切です。
続けていれば、空腹に耐えられなくなり、やがてドッグフードをちゃんと食べるようになります。